+-----------------------------------------------------------------------+ | JPNIC公開文書著作権表示 (Copyright notice of JPNIC open documents) | | | | この文書はJPNIC公開文書であり、著作権は日本ネットワークインフォ | | メーションセンター(JPNIC)が保持しています。JPNIC公開文書は誰でも | | 送付手数料のみの負担でJPNICから入手できます。また、この著作権 | | 表示を入れるかぎり、誰でも自由に転載・複製・再配布を行なって構 | | いません。 | | 〒101-0052 東京都千代田区神田小川町1-2 風雲堂ビル1F | | (社)日本ネットワークインフォメーションセンター | +-----------------------------------------------------------------------+ "Policies for address space management in the Asia Pacific region" 翻訳文 (ftp://ftp.nic.ad.jp/jpnic/translation/apnic-076-j.txt) (社)日本ネットワークインフォメーションセンター 最終更新 2000年 8月 8日 この文書は http://www.apnic.net/docs/add-manage-policy.html を翻訳したものです。JPNICはこの翻訳を参考のために提供しますが、その 品質に責任を負いません。 ------------------------------------------------------------------------ APNIC-076 ========= ------------------------------------------------------------------------ アジア太平洋地域におけるアドレス空間管理ポリシー 承認: 1999年10月1日 発効: 2000年1月1日 次回改定: 未定 廃止: 適用外 改正: 2000年8月 ------------------------------------------------------------------------ 本ドキュメントの性格 このドキュメント(Policies for Address Space Management inthe Asia Pacific Region: アジア太平洋地域におけるアドレス空間管理ポリシー)は、 現在のAPNICの活動およびポリシーを示すもので、今回初めて単一のドキュメ ントとして体系化されたものである。このドキュメントは、数回にわたって広 く意見を募り改定を重ねた結果であり、Executive Councilの承認を得ている。 このドキュメントは、APNICのメンバーシップ、またはコンフェデレーション 独自の問題に関する詳細なポリシーを定めることを目的としたものではない。 ただし、APNICでは、このドキュメントが、特定性が高い他のドキュメントの 根拠となる基盤を提供するものと考えている。 1. 概要 2. スコープ 3. アドレス空間分配階層 4. 定義 4.1. インターネットレジストリ(IR) 4.1.1. 地域インターネットレジストリ(RIR) 4.1.2. 国別インターネットレジストリ(NIR) 4.1.3. ローカルインターネットレジストリ(LIR) 4.2. APNICのメンバー 4.3. 割り振りアドレス空間と割り当てアドレス空間 4.3.1. 割り振り 4.3.2. 割り当て 5. アドレス空間管理の目標 5.1. 目標 5.1.1. 一意性 5.1.2. 登録 5.1.3. 集成 5.1.4. 節約 5.1.5. 公平性 5.2. 目標の対立 6. ポリシー環境 6.1. 保証のないルーティング性 6.2. 予測不能な成長率 6.3. 共同責任 6.3.1. 適正なカスタマ契約 6.3.2. 誠意 6.4. 中立性 6.5. 熟練度のレベル差 6.6. 資産とはみなされないIPアドレス 6.7. 取り貯めの防止 6.8. 効率的テクノロジに基づく評価 6.9. 最小限の実用的割り振り 6.10. ドキュメンテーション 6.11. 機密保持 7. 割り振り/割り当てのポリシー 7.1. IRによる一貫性のあるアドレス空間管理ポリシーの採用 7.2. アドレス空間のリース 7.3. 正しいドキュメントに基づく申請処理 7.4. セキュリティと機密性 7.4.1. セキュリティ手順適用に関する個々の責任 7.5. 公平な申請処理 7.6. 割り振りの一般要件 7.7. 最初の割り振り用のスロースタートメカニズム 7.7.1. スロースタートの例外 7.8. 追加割り振りの基準 7.8.1. 連続割り振りの非保証 7.9. LIR用へのアサイメントウィンドウ 7.10. 先行割り振りを先に使用 7.10.1. 特殊な状況 - 大規模割り当て 7.11. 予備保有はサポートしない 7.12. ポータブルアドレス空間の抑制 7.12.1. PI割り当ての権限 7.13. 集成促進のためのリナンバリング 7.14. プライベートなアドレス空間 7.15. 割り当ての見積り使用量 7.16. 複数のIRからのアドレス空間を求める組織 7.17. 登録の要件 7.17.1. 登録情報の更新 7.17.2. 連絡担当者の登録 7.18. in-addr.arpaレコードの管理責任 7.19. 割り振りと割り当ての有効性 7.20. アドレス空間の譲渡 7.21. LIRの合併、買収、および継承 7.21.1. 登録情報の更新 7.21.2. 会員契約に対する影響 7.21.3. 割り振りに関する結果 7.22. メンバー資格の停止 8. 特殊なケース 8.1. 静的割り当て 8.1.1. 静的ダイヤルアップ接続 8.1.2. ケーブルネットワーク 8.1.3. バーチャルホスト 8.2. IPアンナンバード 9. AS番号 1. 概要 APNIC(Asia Pacific Network Information Centre)は、IANA(Internet Assigned Numbers Authority)の管轄の下にアジア太平洋地域で運営される、 非営利の地域インターネットレジストリである。したがって、APNICは、アジア 太平洋地域におけるパブリックインターネットアドレス空間と関連資源の分配、 およびその分配を管理するためのポリシーの開発と実施に責任を持つ組織であ る。 このドキュメントに述べるポリシーは、APNICの支援による合意プロセスを経て、 アジア太平洋地域のインターネットコミュニティが開発したものである。これ らのポリシーは、APNICが実施し、国別インターネットレジストリおよびローカ ルインターネットレジストリが該当の管轄地域全体にわたって実施する。イン ターネットレジストリは自主規制環境の中で業務を推進しており、これらのポ リシーの目標は、その環境を継続して存続させるための明確な枠組を提供する ことにある。 2. スコープ このドキュメントでは、アジア太平洋地域におけるグローバルIPv4パブリック アドレス空間の責任ある管理に関するポリシーについて述べる。特に、このド キュメントでは、アドレス空間の割り振りと割り当てに関する目標、前提事項、 およびポリシーに焦点を当てる。以前は、アドレス空間はクラス別(クラスA、 クラスB、クラスCなど)に割り振られていた。しかし、CIDR(Classless Inter Domain Routing:クラスレスなドメイン間ルーティング)テクノロジの導入以降、 アドレス空間の割り振りはプレフィクス別(/19、/21など)に行われるように なった。このドキュメントでは、クラスレス(CIDR)アドレス割り当ての問題 のみを取り扱う。 このドキュメントは、APNICメンバーシップの全条件を詳述するものでもなけ れば、他の地域レジストリのアドレス管理ポリシーを考察するものでもない。 また、IPv6、マルチキャスト、またはプライベートアドレス空間に関連する特 定のアドレス割り当て/割り振りポリシーについて述べるものでもない。 3. アドレス空間分配階層 IPアドレスは、RFC2050(オリジナルの記述はRFC1466)に記述されている階層 構造に従って分配する。この階層構造を図1に簡単に示す。 [図1: 分配階層図] fig.1 +--------+ | IANA | +--------+ | +-----------+-----------+...........+.............+ | | | : : +--------+ +--------+ +--------+ +..........+ +..........+ | ARIN | |RIPE NCC| | APNIC | : Potential future RIRs : +--------+ +--------+ +--------+ +..........+ +..........+ | +--------------+-------------+ | | +------+ | | NIR | | National Internet Registries +------+ | | | +------+--+------+ | | | | | Local Internet Registries +------+ | | +------+ | LIR | | | | LIR | +------+ | | +------+ | | | | +-----+ | | +-----+-----+ | | | | | | +------+ | +------+ | +------+ | Internet Service | ISP | | | ISP | | | ISP | | Providers +------+ | +------+ | +------+ | | | | | | | +----+ +----+ +----+ +----+ +----+ +----+ End-users | EU | | EU | | EU | | EU | | EU | | EU | +----+ +----+ +----+ +----+ +----+ +----+ この階層では、IANAがAPNICにアドレス空間を割り振り、それをAPNICがアジア 太平洋地域に再分配する。APNICは、インターネットレジストリ(IR)にアドレ ス空間を割り振り、同時に、割り振り/割り当てを行う権限をIRに委任する。 IRは、APNICの指示の下に、このドキュメントに示すポリシーと手順に従って、 そのメンバーおよびカスタマに対するアドレス空間の割り振りおよび割り当て を行う。 4. 定義 このドキュメントに示す目標、環境、およびポリシーを理解する上で特に重要 な用語と定義を以下に示す。 4.1. インターネットレジストリ(Internet Registry: IR) インターネットレジストリ(IR)は、そのメンバーまたはカスタマにIPアドレ ス空間を分配し、それらの分配状況を登録することに責任を持つ組織である。 IRは、上記の図1に示す階層構造内での、その主要機能および管轄地域の範囲に 従って分類される。 このドキュメントでは、特定の文脈で意味を限定する必要がない限り、IRには、 APNICとその他の地域インターネットレジストリ(Regional Internet Registries: RIR)、国別インターネットレジストリ(National Internet Registries: NIR)、 およびローカルインターネットレジストリ(Local Internet Registries: LIR) を含むものとする。 4.1.1. 地域インターネットレジストリ(RIR) 地域インターネットレジストリ(RIR)は、地理的に大きな地域を代表し、その 地域にサービスを提供するためにIANAの管理下に設立された。RIRの主要な役割 は、それぞれの管轄地域内部でパブリックインターネットアドレス空間を管理 し分配することである。現在は、APNIC、RIPE NCC、ARINの3つのRIRがある。将 来さらにRIRが追加される可能性はあるが、RIRの合計数は比較的少ないままに なると予測される。 4.1.2. 国別インターネットレジストリ(NIR) 国別インターネットレジストリ(NIR)は、一般には国レベルで組織されている インターネットサービスプロバイダ(ISP)であり、主にそれらのメンバーまた は構成員にアドレス空間を割り振るIRである。レジストリ機能の実施において は、NIRは、すべてのメンバーおよび後援グループに、ポリシーおよび手順を公 平に適用するものとする。 このドキュメントに示すポリシーは、NIRにも適用する。ただし、このドキュメ ントは、APNICとの正式な関係におけるNIRの役割および責任をすべて示してい るわけではない。その種の役割および責任に関する詳しい記述は、「National Internet Registry and Confederation Policy」というドキュメントにあり、 関連の会員契約書に反映されている。 4.1.3. ローカルインターネットレジストリ(LIR) ローカルインターネットレジストリ(LIR)は、主として、それが提供するネッ トワークサービスのユーザにアドレス空間を割り当てる。LIRは、ISPであるこ とが多く、そのカスタマは他のISPおよび場合によってはエンドユーザである。 LIRは、APNICのメンバーである場合も、NIRのメンバーである場合もある。 4.2. APNICのメンバー このドキュメントの目的上、APNICメンバーという用語は、APNICとの間に取り 交わした現行の会員契約書を保持しているメンバーに加えて、特定の状況下に おいて、APNICの正式メンバーとしての資格なしでAPNICからのサービスを受け て金銭の支払いを行っているカスタマを指すものとする。 4.3. 割り振りアドレス空間と割り当てアドレス空間 APNICアドレス空間ポリシーを理解するには、割り振り(allocated)と割り当 て(assigned)の区別を明確につける必要がある。 4.3.1. 割り振り 割り振りアドレス空間とは、IRがさらに他に分配することを目的として、IRに 対して分配されるアドレス空間である。 4.3.2. 割り当て 割り当てアドレス空間とは、エンドユーザが自己のネットワーク内で実際に運 用するために使用することを目的として、単一のエンドユーザに分配されるア ドレス空間である。IRがアドレス空間を自身のネットワークのアドレス割り当 てに使用する場合、または接続の確立時に動的に割り当てを行うためのプール として使用する場合も、そのアドレス空間は割り当てアドレス空間になる。割 り当ては、特定の文書化された目的に沿って行うべきものであり、これを細分 して、さらに他に割り振ったり、割り当てたりしてはならない。 5. アドレス空間管理の目標 5.1. 目標 ここに記述する目標は、インターネットコミュニティが策定したもので、イン ターネットが最大限の効率で機能し成長する状況を確保するという点で、この コミュニティの全構成員の相互利益を反映している。これらの目標がアジア太 平洋地域で達成されるようにすることは、パブリック資源の管理機関としての APNICの主要な責務である。APNICは、この責務を遂行するために、責任あるポ リシーおよび活動を開発し実施するための指針を示し、指導をする。 各地域およびコミュニティでこれらの目標を達成すべく努力するのは、該当地 域のすべてのNIRおよびLIRの責務である。 5.1.1. 一意性 アドレス空間の個々の割り当て/割り振りは、すべて世界規模での一意性が保証 されていなければならない。これは、インターネット上のあらゆるパブリック ホストを一意的に識別できるようにするための絶対条件である。 5.1.2. 登録 パブリックインターネットアドレス空間の割り当てと割り振りはすべて、公開 されアクセスが可能なレジストリに登録する必要がある。これは、一意性を確 保するため、およびインターネットにおけるすべてのレベルでのトラブルシュ ーティング用の情報を提供するために必要である。また、このことは、パブリ ックアドレス空間などのパブリックな資源の管理者をすべて確認できるように すべきであるという、インターネットコミュニティの期待も反映している。 5.1.3. 集成 アドレス空間は、可能な場合は常に、ネットワーク通信基盤のトポロジに従っ て階層方式で分配する。これは、経路情報の集成を可能にし、インターネット 経路情報の拡大を制限するために必要である。 5.1.4. 節約 パブリックなインターネットアドレス空間資源の寿命を最大限に引き延ばすた めには、実際の必要性に従い、即時使用の原則によりアドレスを分配すること が必要である。したがって、原則として、アドレス空間の取り貯めと予備保有 は抑止すべきである。 節約は、暗黙に効率も意味する。したがって、アドレス空間のすべてのユーザ は、VariableLength Subnet Masking(可変長サブネットマスク: VLSM)などの 技法および適切なテクノロジを採用して、アドレス空間の浪費を避けなければ ならない。 5.1.5. 公平性 パブリックなアドレス空間の使用に関するすべてのポリシーおよび実施活動は、 場所、国籍、規模、またはその他のいかなる要素にも関係なく、インターネッ トコミュニティの現在および潜在するすべてのメンバーに対して公平に適用さ れる。 5.2. 目標の対立 節約と集成の目標は、ときとして相互に対立することがある。さらに、目標の 一部またはすべてが、個々のIRまたはエンドユーザの利益と衝突することもあ り得る。したがって、割り振りおよび割り当ての申請を審査するIRは、申請に 関連したすべての考慮事項を入念に分析し、個々の申請者のニーズとインター ネットコミュニティ全体のニーズとの間の均衡化に努める必要がある。このド キュメントで述べるポリシーは、IRが一貫性のある公平な方法でこれらのニー ズの均衡化を計るための指針を提供するものである。この目的を達成するには、 常に意思決定のプロセスを完全に文書化し、その過程を公開する必要がある。 6. ポリシー環境 第5節で述べた目標に加えて、インターネットコミュニティの期待、現在の管 理構造、およびテクノロジ上の制約などのような他の要因も含め、すべてが APNICポリシーを生み出す運用環境を形成している。環境内での変化は、急速 に、または予測のつかない方法で起こることがある。APNICの重要な役割の1つ は、そのメンバーのために、この環境への変化を監視し、そのような変化が APNICポリシーに及ぼす影響の意味を伝えることである。この節では、現在の 運用環境において、現在のAPNICポリシーを決定する上で最も重要な意味を持 つようになってきている要因について説明する。 6.1. 保証のないルータビリティ APNICは、アドレス空間のルータビリティには保証があり得ないことを認識して いる。特に、グローバルに広告される経路数を減らすために、世界規模のトラ ンジットプロバイダはプレフィクスの長さに基づくルートフィルタリングポリ シーを実施し、その結果として、インターネット上でのルータビリティがプロ バイダベースでない割り当ての場合に最も低くなるという傾向がある。したが ってAPNICポリシーでは、アドレス空間を求める者が、APNICに直接要求せずに、 上流プロバイダからアドレス空間を獲得することを奨励する。 6.2. 予測不能な成長率 アドレス空間分配の初期段階では、インターネットの爆発的成長も、その当然 の結果として、使用可能なアドレス空間の量とそのアドレス空間のルーティン グの両方に持ち上がった規模の問題も、予測されていなかった。APNICは、アド レス空間の管理のためのポリシーと手順では、過去の経験を考慮に入れ、将来 のインターネットの拡張性を最大にするよう努力する必要があるものと認識し ている。 6.3. 共同責任 APNICは、インターネットの管理可能で拡張性の高い成長を実現するために、メ ンバーおよびカスタマとの共同責任の一端を担っていると考えている。APNICは、 そのメンバーおよびさらに広い範囲のインターネットコミュニティとの合議プ ロセスにより、アドレス空間管理のためのポリシーと実施活動を開発し、第5節 に述べた目標に沿った決定をする必要があることを認識している。 6.3.1. 適正なカスタマ契約 APNICは、このドキュメントに示すポリシーが、メンバーおよび非メンバーの両 方によって一貫した形で地域全体に適用されるようにするために、IRはそのメ ンバーおよびカスタマと適正な契約を結ぶ必要があると考える。 6.3.2. 誠意 APNICは、情報、IRとそのカスタマから提出される情報、ネットワーク計画、お よびその他の文書が偽りのない正確なものであるという、暗黙の信頼を基盤と して、メンバーとの関係が成立していると考える。 6.4. 中立性 APNICは、インターネットコミュニティ全体の利益、特にアジア太平洋地域のイ ンターネットコミュニティの利益を代表する。したがって、そのポリシーを、 すべてのAPNICメンバーに公平に適用し、組織の規模や地理的な位置、またはそ の他のいかなる要因にも左右されないものとする。 6.5. 熟練度のレベル差 APNICは、IRとエンドユーザの間でスタッフの経験および熟練のレベル差がある ことを認識している。APNICは、ポリシーを実施するにあたって、すべてのメン バーに公平に適用はするが、各メンバーに適したさまざまのレベルの支援およ び監視を行うことを認める。この支援および監視は、APインターネットコミュ ニティ全体にわたるアドレス空間管理への一貫性のあるアプローチを確保する 目的で行うものである。 6.6. 資産とはみなされないIPアドレス APNICは、アドレス空間を自由保有財産とみなすことは、前述の目標と矛盾し、 インターネットコミュニティ全体の利益に反するものである認識している。 APNICポリシーは、この認識を反映し、インターネットコミュニティのすべての メンバーに対して、アドレス空間を乏しく限りある資源とみなし、必要性の根 拠が立証された場合にのみ責任を持って分配することを奨励する。 さらに言えば、アドレス空間の可搬性は集成と効率という目標にとってマイナ ス要因になるので、APNICポリシーは、アドレス空間は所有物でなく貸与される 物(リース)であるとの理解に基づいたサービスを、IRがそのメンバーおよび カスタマに提供することを要請する。 6.7. 取り貯めの防止 APNICは、アドレスの取り貯めは節約と公平の目標に反するものと考える。APNIC ポリシーでは、取り貯めを防止し、即時の必要性の根拠が立証されているかど うかに基づきアドレス空間を効率的に運用することを奨励する必要がある。 6.8. 効率的テクノロジに基づく評価 APNICは、特定の状況においてアドレス空間の効率的、階層的分配に役立つ適切 なテクノロジがあれば、そのアドレス空間のユーザは、現行の最善の実施方法 に従いそれらのテクノロジを採用すべてきあると考える。最も効率的なテクノ ロジの使用を計画しない組織は、純粋に通信基盤に関する考慮事項に基づき、 その正当性を示す根拠を提示しなければならない。APNICポリシーは、管理運営 上の便宜の問題は非効率的なテクノロジを使用する正当な裏づけとして不十分 であるとの認識を反映している。ただし、APNICポリシーは、ネットワークの規 模や複雑さなどの要因、および運用上の安定性に対する必要性がある場合は、 このようなテクノロジの利用を延期する正当な理由になるということも認めて いる。 APNICは、そのメンバーおよびより広範囲のインターネットコミュニティと協力 して、インターネットアドレッシング用のテクノロジおよびテクニックに関し、 現在推奨する最良の実施策を定義し開発する。 6.9. 最小限の実用的割り振り APNICは、集成と節約の目標はしばしば対立するものでるとの認識に立って、ア ドレス空間割り振りのための最小限の実用的サイズを設定する必要があると考 える。テクノロジ上および運営上の条件の進展に伴い、この最小限の実用的サ イズはその時々に変更される可能性がある。現行の最小限の実用的割り振りの サイズは、/20 (4,096 アドレス)である。 6.10. ドキュメンテーション APNICは、申請を正しく評価するためには、IRが該当のネットワークに関するす べての関係書類を慎重に審査する必要があると考える。この種の書類には、ネ ットワークエンジニアリング計画、サブネット計画、ネットワークトポロジ、 ネットワークルーティング計画の記述などが含まれる。すべてのドキュメント はすべて一貫した規格に合致している必要があり、文書化された見積りおよび 予測はすべて現実的でその正当性を証明できるものでなければならない。 6.11. 機密保持 APNICは、IRが、アドレス空間を要求する組織および個人の活動に関する情報 を受け取り、分析することが必要であり、かつ、この種の情報はその性質上高 度の機密保持の対象になるものと考える。したがって、APNICは、その立場に暗 黙に含まれる信頼を反映する方法で活動するために、そのメンバーおよびカス タマの商業上の機密情報を保護する手順を適用し実施する。 7. 割り振り/割り当てのポリシー 第1節で強調したように、APNICのポリシーはアジア太平洋地域全体のインター ネットコミュニティのコンセンサスの下に生まれたものである。APNICの役割は、 これらのポリシーを確認し普及させることにある。APNICは、ポリシー決定をメ ンバーに命令するのでなく、地域全体に一貫した責任ある方法で実施するため のモデルを提供するものである。 7.1. IRによる一貫性のあるアドレス空間管理ポリシーの採用 APNICから直接または間接にアドレス空間を受け取るNIRおよびLIRはすべて、こ のドキュメントに述べるとおり、アジア太平洋地域のインターネットコミュニ ティが作成した割り振り/割り当てポリシーを採用しなければならない。 特に、NIRは、可能な限り、それぞれの管轄下にあるメンバーに、APNICがその メンバーに該当ポリシーを適用する方法と矛盾しない方法で、スロースタート、 アサイメントウィンドウ、およびセカンドオピニオンポリシーを適用する。さ らに、すべてのNIRおよびLIRは、第7.2節のリース条件に従った契約に基づいて のみ、それぞれの責任下にあるアドレス空間の割り振りまたは割り当てを行う ものとする。 7.2. アドレス空間のリース APNICは、インターネット資源を「リース(貸与)」ベースで割り振り、リース には特定の期限(通常は1年間)を設ける。 すべてのリースの条件はAPNIC会員契約書およびその他の関連するAPNICドキュ メンテーションとして作成され、リース契約の開始または更新の時点で資源の 割り振りおよび割り当てに適用されるAPNICポリシーと矛盾しないものとする。 組織に対するリースは、次の条件の下に更新可能とする。 (a)割り振り当初の根拠の有効性が維持されている。 (b)更新時点で、割り振りに関する登録要件を達成している。 リース契約を更新する場合、新規リースは、更新時点で適用される資源割り振 りポリシーおよびリース更新ポリシーに従う。ただし、現行リースの条件に実 質的な変更がある場合には、事前に最低1年間の予告期間を設ける。 リース条件に対する実質的変更は、すべてAPNICメンバーのコンセンサスを得な ければならない。さらに、現行リースの条件にそのような変更を加える場合は、 APNICメンバーのコンセンサスにより承認された例外的状況を除き、所定の最小 予告期間(通常1年)を設ける必要がある。 個々のリースを再検討するのは、関連のIRが、既存のリース条件が守られてい ないと信ずるに足る理由がある場合のみとする。IRは、既存のリースの再検討 のために、適切と思われる独自の手順を実施することができる。 7.3. 正しいドキュメントに基づく申請処理 APNICは、完全で正しいドキュメントにより提出された申請のみを処理する。ド キュメントに、誤りや欠落がある場合は、APNICは可能な限り速やかにその旨を 申請者に伝える。APNICは、最初に提出されたドキュメントで明確になっていな い関連事項について、さらに詳細な情報や根拠を求める場合がある。APNICは、 誤りおよび欠落が訂正されるか、またはAPNICの質問に回答が得られた場合は、 ただちにその申請の処理を進める。 APNICは、申請の処理に関して、一貫した信頼できるレベルのサービスを維持す るために妥当と認められるあらゆる努力を払う。 7.4. セキュリティと機密性 APNICは、すべてのメンバーとそのカスタマの商業上の運営および通信基盤の運 用に関るすべての情報の機密性を保護するためのシステムおよび実施策を維持 する。APNICは、そのスタッフまたはエージェント全員の雇用を、上記の情報に 関する機密保持条件を明示した契約に基づき行う。 7.4.1. セキュリティ手順適用に関する個々の責任 APNICは、whoisデータベース内で認証および検証のためのメカニズムを提供し ている。しかし、そのようなメカニズムを利用する場合の責任は、個々のIRま たはエンドユーザにある。 7.5. 公平な申請処理 APNICは、すべての申請を、厳密に、正しいドキュメントを受け取った順序で処 理する。すべてのメンバーは、地理的な所在地、規模、またはその他のいかな る考慮事項にも関係なく、公平に取り扱われるべきであるので、APNICは、どの ような状況下でも、申請処理の標準的順序に特別待遇や例外を設けることはな い。 APNICは、すべての申請を一定の時間内に処理する努力をし、申請の効率的管理 を補助する方式として、申請チケットシステムを維持する。 7.6. 割り振りの一般要件 第7.7項および第7.8項でさらに詳細に規定するが、アドレス空間の割り振りに 関するAPNICへのすべての申請について、その申請を出すIRのネットワーク通信 基盤、そのIRが現在保有しているアドレス空間、そのIRが過去に行った割り当 て、および申請したアドレス空間の使用目的を説明するドキュメントによる裏 付けが必要である。 7.7. 最初の割り振り用のスロースタートメカニズム 第7.7.1項に従い、APNICおよびNIRは、すべての新規LIRに対してスロースター トメカニズムを適用する。APNICが行う割り振りについては、LIRが最初に受け 取る割り振りは、第6.9項に述べた最小限の実用的割り振りとする。NIRが行う 割り振りについては、LIRが受け取る最初の割り振りのサイズは、APNICの最小 限の実用的割り振りを超えない範囲で、管轄のNIRの裁量により決定する。 大きいブロックのアドレス空間を割り振った結果、実質上はそれが割り当てら れないままになる可能性を防止するために、すべての地域レジストリはスロー スタートポリシーを使用する。APNICおよびNIRは、すべてのLIRに対して一貫性 のある公平な方法で、スロースタートメカニズムを実施し、すべてのアドレス 空間申請者に対して同じ原則と標準を適用する。 7.7.1. スロースタートの例外 例外的な状況では、LIRは規定より大きい初期割り振りを受けることができる。 ただし、当該LIRは、標準のスロースタート割り振りを超えるネットワークアド レスが即時に必要なことを実証する、十分に詳細なドキュメントを提出できる ことが必要である。この種のドキュメントには、当該LIRが満たそうとしている 即時ネットワーク要件を示す、装置類の購入に関する受領証、注文書、または 署名入りのプロジェクト契約書等が含まれる(ただし、これのみに限定されな い)。 7.8. 追加割り振りの基準 LIRに対する最初の割り振りの後の追加割り振りは、すべて、そのLIRについて 確認された使用率、アドレス空間に関して提出された計画書、および、過去の 割り振りおけるAPNICポリシーの順守の程度に応じて決定する。(LIRの「確認 された使用率」とは、そのLIRが関連の過去の割り振りの中のどの程度を実際に 割り当てたかを示す率である)。 これらの基準を評価した後で、APNICおよびNIRは、さらに追加申請が必要にな るまで最高1年間は、LIRがその割り当てのニーズをすべて満たせるだけの十分 なアドレス空間を割り振るよう努力する。 7.8.1. 連続割り振りの非保証 APNICは追加割り振りをそれ以前の割り振りと連続させるための試みはするが、 アドレス空間は予約できないので、連続割り振りが常に可能だと保証すること はできない。 7.9. LIR用へのアサイメントウィンドウ LIRが第5節に述べるAPNICのポリシーと目標をよく理解し順守するのを支援する 目的で、APNICおよびNIRは、アサイメントウィンドウと呼ばれるメカニズムを 適用する。 アサイメントウィンドウとは、LIRが事前に「セカンドオピニオン」を求めずに エンドユーザに割り当てることが許される最大アドレス数である。LIRは、その アサイメントウィンドウを超える割り当てを行う必要がある場合は、そのよう な割り当てを実施する前に、APNICまたは管轄のNIRにセカンドオピニオン申請 を提出する必要がある。 APNICまたはNIRの新規メンバーとなったLIRはすべて、スタート時点ではアサイ メントウィンドウはゼロである。つまり、予定のすべての割り当てについて、 まず先に承認を得る必要がある。APNICまたは管轄のNIRは、割り当ての実施と セカンドオピニオンの求め方に関して定期的にLIRスタッフの熟達度を査定し、 その結果に基づいてアサイメントウィンドウのサイズを検討する。LIRスタッフ の熟達度が上がるにつれて、アサイメントウィンドウのサイズも上がる可能性 がある。 どのLIRの場合も、与えられる最大アサイメントウィンドウは/19(8,192アドレ ス)である。 新規スタッフの研修またはその他の関連する状況が生じて、APNICポリシーが要 求する基準をLIRスタッフが満たさなくなった場合は、APNICまたは管轄のNIRは 一時的にそのLIRのアサイメントウィンドウを減少できる。 7.10. 先行割り振りを先に使用 LIRは、そのLIRが保有している全割り振りの合計アドレス空間の少なくとも80 %が、現在すでに割り当て済みになっていない限り、追加の割り振りを受ける資 格はない。 7.10.1. 特殊な状況 - 大規模割り当て LIRが保有するすべての割り振りの合計アドレス空間のうち、現在割り当て済み になっているのが80%未満であっても、残りの空間量より大きい単一の割り当て をする必要がある場合は、そのLIRは管轄のNIRまたはAPNICに対して追加割り振 りを申請できる。 7.11. 予備保有はサポートしない LIRは、カスタマにアドレス空間を割り当てる場合、そのLIRが現在保有してい るアドレス空間から割り当てを行う必要がある。割り振り申請を評価する場合、 他のカスタマ用の予備としてLIRが取ってある空間は、未割り当てのアドレス 空間とみなす。 7.12. ポータブルアドレス空間の抑制 APNICは、割り当てをリースベースで行うという合意の下に、すべての割り振り をプロバイダ集成可能(PA)とする。集成という目標の達成に利するために、 APNICポリシーは、エンドユーザが割り当てを保有する期間をそのLIRのカスタ マである期間のみに限定することを指定した集成を、LIRが個々のカスタマと交 わすよう奨励する。 PA割り当てでは、エンドユーザがサービスプロバイダを変更する場合は、その エンドユーザは最初のLIRから割り当てられていたアドレス空間を返却し、別の LIRからの割り当てを受け、そのLIRのアドレスブロック内でリナンバリングす る必要がある。 APNICポリシーは、プロバイダに非依存(PI)アドレス空間、つまりポータブル アドレス空間が適切な場合があることを認めるが、ただし、PIアドレス空間を 求めるすべての申請は、管理運営上の根拠でなく、確固としたテクノロジ上の 根拠に立ってその正当性を証明する必要がある。 7.12.1. PI割り当ての権限 PI割り当てを行う権限を持つのはAPNICのみである。PI割り当てを必要とする正 当な理由を持つ組織は、管轄のNIRまたはLIRに申請してAPNICからのアドレス空 間の取得の代行を依頼するか、または直接APNICにアドレス空間の取得を申請す ることができる。 7.13. 集成促進のためのリナンバリング IRは、妥当と思われるあらゆる方法で、複数の非集成プレフィクスを保有して いるエンドユーザに、それらのアドレスを返却しPAアドレス空間の単一の集成 可能なプレフィクスのアドレスに交換することを奨励しなければならない。エ ンドユーザがこのような調整に応じることを望まない場合であっても、APNICは、 集成により得られる利点から見てさらに勧奨を続けることが妥当と考える。そ のために、APNICは、ドキュメントの提出を求める際、既存の割り当てに関する 効率、および1対1ベースでアドレスを置き換えるための使用率の要件を軽減す る場合もある。これは「No questions askedポリシー」と呼ばれるもので、他 に方法がない場合にのみ最後の手段としてとるものである。この項に述べる事 項により、第7.2項に述べたすべての割り振りおよび割り当てをリースベースで 行うための要件が軽減されることはない。 7.14. プライベートアドレス空間 APNICは、ファイアウォールの内部で運用されるネットワークまたはインターネ ットに接続されないネットワークのアドレス体系には、プライベートアドレス 空間の使用を奨励する。 7.15. 割り当ての見積り使用量 割り当て申請には、即時および計画済みの将来の必要性に基づく見積り使用量 による裏付けが必要である。この申請のための文書は、見積り値に高度の信頼 性が備わる基準に達している必要がある。見積りは、即時、1年以内、2年以内 の各期間に関して算出する。APNICは、組織が割り当て申請を提出する場合の一 般的なガイドラインとして、アドレス空間の25%を即時使用に充て、50%を1年以 内の使用に充てるという想定で全体の必要量を見積ることを勧める。 エンドユーザは、1年以内の見積り使用量が信頼性の高い値であることを示す必 要があり、その信頼性の高さの根拠を実証する資料を提出する必要がある。エ ンドユーザが2年間の使用率の信頼できる見積り値を提出できない場合は、APNIC またはNIRは、1年間の必要量のみに十分と認められる量を割り振る。 7.16. 複数のIRからのアドレス空間を求める組織 APNICは、各組織が一時点で1つのIRのみからアドレス空間を取得することを要 望する。同一組織が複数のIRからのアドレス空間獲得を申請する場合、その申 請をする組織は、割り当て元に関係なく、自身が現在保有しているすべてのア ドレス空間を申請時に開示しなければならない。さらに、複数のIRに同時申請 を提出する組織は、それらすべての申請の詳細を開示する必要がある。 ただし、APNICは、特定の状況下(たとえばマルチホームの組織など)では、強 い技術的な理由があれば、同一組織が複数のプロバイダからアドレス空間を受 け取ることが適切な場合があることを認める。 この項の目的として、親組織とそれに従属する関連組織は、通常は全体で1つの 組織と見なす。ただし、組織の各部分が別個の法人であり、完全に独立したネ ットワーク通信基盤を維持し、異なるAS(自律システム)番号の下にルーティ ングされている場合、または複数のIRからアドレス空間を取得する他の正当な 必要性を実証できる場合は、例外を設けることもある。 7.17. 登録の要件 割り振りまたは割り当てを行う時点で、IRは、APNICのwhoisデータベースに、 行うアドレス空間の割り振りおよび割り当てをすべて正確に登録しなければな らない。このデータベースの情報は、インターネットのトラブルシューティン グに必要であると同時に、インターネットコミュニティ全体の利益となる一定 レベルの責任能力と透明性を提供するためのものである。 7.17.1. 登録情報の更新 IRは、登録情報に少しでも変更があったときは、whoisデータベースを更新する 必要がある。これは関係IRの責務であるが、元の割り当て状態であれば、エン ドユーザに正式に更新を委任することができる。 7.17.2. 連絡担当者の登録 連絡担当者の登録は、責任あるアドレス空間管理の非常に重要な部分である。 例外的状況により他の処置が必要になる場合を除き、運用連絡窓口(admin-c) は、ネットワークの当該サイトに実際に居る人でなければならない。技術連絡 窓口(tech-c)は、ネットワークの当該サイトに実際に居る人である必要はな いが、ネットワークの日常の運用の責任者でなければならない。 7.18. in-addr.arpaレコードの管理責任 LIRは、そのカスタマのネットワークに関するin-addr.arpa資源レコードを管理 する。ネットワークに関連するLIRが特にない場合は、適切なNIRまたは場合に よってはAPNICがin-addra.arpaレコードを管理する。 7.19. 割り振りと割り当ての有効性 アドレス空間の割り振りまたは割り当てが有効であるのは、割り振りまたは割 り当ての根拠となった元の基準の有効性が継続している間だけである。割り振 りまたは割り当てが特定の目的のために行われ、その目的がもはや存在しなく なった場合は、該当の割り振りまたは割り当ての有効性も消滅する。ベースと なった情報が偽または不完全なものであることが判明した場合は、該当の割り 振りまたは割り当てを無効とし、アドレスを該当のIRに返却するものとする。 7.20. アドレス空間の譲渡 第7.21節のさらに詳細な規定に従い、APNICポリシーは、アドレス空間の販売ま たは無認可の譲渡を認めない。また、そのような譲渡はすべて無効と見なす。 APNICは、そのような譲渡を受けた組織に対し、入手したアドレス空間を当該IR に返却することを要求する。 7.21. LIRの合併、買収、および継承 7.21.1. 登録情報の更新 LIRの所有権が(合併、売却、継承などにより)変更された場合は、新しい組織 体は、そのネットワーク使用および連絡担当者に関する変更をすべて登録する 必要がある。継承、売却、または合併の結果、LIRの名称が変更された場合は、 そのLIRは、名称変更の裏付けとなる関連の法的書類をAPNICに提出する必要が ある。 7.21.2. 会員契約に対する影響 LIRが所有権を変更した場合は、新組織体はその変更をAPNICに通知する義務が ある。APNIC会員権は組織体から別の組織体に譲渡することはできない。ただし、 所有権の変更に引き続いてそのLIRが別の組織体の従属組織になり、各組織体の 通信基盤が完全に独立したままの状態を維持する場合は、会員契約もそのまま 継続する。 7.21.3. 割り振りに関する結果 LIRの合併、売却、継承の後は、APNICは、新規組織体が保有するすべての割り 振りの状況を再検討する。この再検討の過程で、APNICは関連組織体の通信基盤 への実際的な影響も考慮に入れる。 合併、売却、または継承の実際的結果として2つのLIRの通信基盤が統合される 場合は、APNICは両者への独立した割り振りをそのまま続けることはしない。こ の状況の場合、事実上包含されることになるLIRの会員契約は無効になる。 該当するすべての場合に、APNICは、割り振りの状況を査定する際に、該当する すべてのLIRが保有するすべてのアドレス空間の完全な開示を求める。この開示 がない場合は、APNICは、既存の割り振りをすべて無効と見なし、その返却を求 める。 7.22. メンバー資格の停止 APNICのメンバーがIRとしての機能を停止する場合は、その未割り当てのアドレ ス空間をすべてAPNICに返却する。さらに、カスタマに運営の停止を通知し、新 規LIRからのアドレス空間にリナンバするための調整手続きをとることを推奨す るのは、当該メンバー(またはそのメンバーの業務の終結処理のために任命さ れた管財人)の責務である。新規LIRは、IRに新規の調整内容を通知し、前の割 り当てを未割り当てアドレス空間のプールに返却できるようにしなければなら ない。 8. 特殊なケース この節に述べるポリシーは、特殊なタイプの割り振りおよび割り当てに関する もので、最新テクノロジの利用に関連した現時点での最善の実用策に基づいて いる。 8.1. 静的割り当て APNICポリシーは、1サービスに1つのIPアドレスという静的割り当てを強く阻止 する。将来の静的割り当てを求めるすべての計画は、特定の、詳細なテクノロ ジ上の根拠に基づき正当性が認められるものでなければならない。管理運営上 の便宜の問題は、このような割り当てを正当化する十分な理由とはならない。 ただし、この種の申請を審議する際に、APNICは、現在最善の実用策が問題のネ ットワークに適用可能かどうかを考慮に入れる。 8.1.1. 静的ダイヤルアップ接続 APNICポリシーは、静的ダイヤルアップ接続方式に基づく割り当てを強く阻止 する。この割り当ての取得を計画しているエンドユーザは、まず、この種の割 り当てのほとんどが不要になる動的割り当てテクノロジを使用することが技術 的に可能かどうかを調査する必要がある。 8.1.2. ケーブルネットワーク ケーブルベースの通信基盤については、このポリシーの例外が適用されること がある。APNICポリシーは、DHCPなどの動的テクノロジの採用が可能ではあるが、 消費者が要求する高可用性により、結果的にはIPアドレスの有効な節約とはな らない場合が多いことを認識している。 8.1.3. バーチャルホスト 一部のプロトコル(たとえばHTTP 1.1)の最近の開発により、バーチャルホス トの1対1のマッピングの必要性はなくなった。APNICポリシーは、この種のプロ トコルの現行バージョンと互換性のあるシステムを実装しようとする組織がバ ーチャルホストの使用を検討することを積極的に奨励する。 8.2. IPアンナンバード APNICポリシーは、単一接続で、静的にルーティングされ、互換性のあるルー タおよびソフトウェアを備えているカスタマには、IPアンナンバードを使用す ることを奨励する。この構成ではシリアルインターフェイス上でのIP処理がで き、point-to-pointリンクに明示的なIPアドレスを割り当てる必要がない。こ れは、節約目標の達成に貢献するだけでなく、運用レベルの見地から見ても、 内部ルーティングテーブルのサイズを最小限に抑えるため、スケーラブルなネ ットワーク成長への対処が容易になる。 9. AS番号 AS(自律システム)番号は、マルチホームで、所属プロバイダのルーティング ポリシーとは異なる単一の明確に定義されたルーティングポリシーを持つ組織 に割り当てる。 AS番号を取得するには、RFC1930(「Guidelines for the creation, selection and registration of an Autonomous System(ASの作成、選択、および登録の ためのガイドライン)」に述べるガイドラインに従って申請する。 ------------------------------------------------------------------------ END OF DOCUMENT 999, APNIC Pty. Ltd. All Rights reserved. ------------------------------------------------------------------------